「人事に興味があるが、自分にできる仕事内容なのか不安」
「採用に関わる仕事がしたいが、仕事内容が全然わからない」
前職で新卒採用をしていたころ、新卒応募者から「人事になりたい」という言葉をいただくことが多かったです。
ですが社会人経験がまだない学生の方や、採用活動未経験の社会人の方は、新卒採用って何をするのか細かいとこまでイメージができず不安な部分も多いはず。
そこでこの記事では、
・人事を目指す新卒就活生
・これから人事になる予定の社会人
に向けて、新卒採用者はどんな仕事をしているのか、お話していきます。
私、波野美伊は、小売業界のベンチャー企業で1年ほど新卒採用担当を経験しました。
実体験をベースにお話しするので、具体的な仕事内容がイメージしやすいと思います。
人事・新卒採用の仕事内容
まずは新卒採用の主な仕事を簡単に説明します。
1,採用目標を決める
2、採用活動を開始する
3,選考活動を開始する
4,内定者のフォローをする
5,入社直前の準備をする
6,入社直後の対応をする
7,入社後のフォローをする
これが採用担当の主な仕事内容です。
それでは一つずつ説明していきます。
1,採用目標を決める
採用目標を決める際、考えることが2つあります。それは、
- 採用目標人数
- 採用したい人材の人物像
です。
私が以前勤めていた会社は、全国に100店舗以上ある小売業界の企業で、毎年出店数を増やしていました。
会社の成長に応じて社員が必要になるので、新卒採用の目標人数を決めるときは、これから出店する店舗数が一つの目安になりました。
採用したい人材の人物像について、小売業では店舗に立つスタッフがお店のイメージを作ります。
どんな人に店舗に立ってもらいたいか、どんな人が入社後に活躍しそうか、採用担当者全体で共通認識を合わせていきました。
2,採用活動を開始する
自社に応募してくれる学生を集めるための大事な活動です。
ここでいろいろな会社を初めて知る学生も多いので、自社を魅力的に感じてもらう第一歩です。
説明会のイメージが強いと思いますが、説明会以外にも様々な活動をしています。
インターンシップの実施
インターンシップはどの学年でも参加可能ですが、大学三年生の夏に参加する人が多い印象です。
店舗に立っていただくのは難しかったため、
・販売員の疑似体験をする
・会社の理念を知ってもらう
・自社商品を知ってもらう
・売れる方法を考える
などのことをおこなうワークショップを開催していました。
インターンシップの内容を考えるところから、準備、学校への周知、開催、フィードバックし次回改善するところまで、採用担当者がおこなっていました。
説明会の実施
説明会の開催時期は、大学3年生の3月1日からです。
(経団連の要請する選考日程は、年度によって変わることがあるので参考まで)
説明会には、
・合同説明会
・企業説明会
があります。
合同説明会は、いろんな会社が同じ会場でブースを借りておこなう説明会です。主にリクルート企業や求人媒体の企業が主催していました。
さまざまな会社を一度に見ることができるので、業界や職種をこれから絞ろうと考えている学生が多い印象です。
企業説明会は、単独説明会とも言ったりします。
企業が場所を借りたり自社でおこなったりする説明会で、企業研究のために参加する学生が多い印象です。
第一志望の会社である可能性も高く、採用担当者に覚えてもらう目的の学生もいます。
他にも学校に出向いて行う出張説明会もあります。
学校訪問
大学、専門学校、高校に訪問して、就職担当の先生にご挨拶をします。
学生や生徒におすすめしたい企業だと思ってもらうために自社の魅力を説明をしたり、今年度の就職希望の学生や生徒の動向をきいて、先生方と情報交換をしたりするための大事な活動です。
求人媒体の企業と打ち合わせ
求人広告を載せてもらっている企業とお会いして、自社の今年の目標人数を伝えて、どの媒体にどのサイズの広告を載せるか、どのくらい応募を見込めるか、どのようなサービスを受けられるか相談します。
求人やリクルートの企業は、企業と学生を繋げる役割があるので、自社の魅力を伝え良い企業だと判断してもらい、学生たちにすすめられる企業だと思ってもらう必要があります。
求人情報の管理
リクルート企業のWebサイトに載せていただく求人情報は、基本、採用担当者が管理しています。
例えば、新店オープンのスタッフを募集したり、スタッフが充分な人数になった店舗の応募を下げたりします。
最新情報でなければいけないので、情報漏れや古い情報が残っていないかチェックします。
3,選考活動を開始する
本格的な選考開始は、大学4年生の6月1日以降です。
ここから書類選考や面接を行っていきます。
下記で詳しく説明します。
応募者対応
応募してきてくれた学生と連絡を取ります。
書類選考通過かどうかの連絡や、面接日程の調整などをメールや電話でおこないます。
書類選考
提出してくれた履歴書やエントリーシート(ES)を見て、一次面接に案内するかどうか判断します。
前職のベンチャー企業では、基本書類選考で不採用になることはありませんでしたが、
字が適当すぎる、下書きを消していない、文章が短すぎる、証明写真がプリクラ(実際にありました…)など、
特にひどい理由がなければ、ほとんど通過でした。
面接日程調整
書類審査を通過した学生に一次面接の案内をします。
基本メールでのやり取りが多かったです。
書類審査から一次面接まで一週間以内が基本でした。
学生側の「この企業に入りたい」という熱意が冷めないうちに、ということと、スピード感のある会社だなと思ってもらいたいというのがおもな理由です。
面接
応募者と実際に会う対面面接か、コロナ渦で普及したWEB面接のどちらかで面接を実施します。
履歴書に書いていることと合わせながら、志望動機や自己PRを実際にお話ししてもらう感じなので、内容はかぶってても全然OKでした。
もっとここの部分を詳しく聞きたいなって思うところを面接官側から質問していき、スムーズな会話ができるか、立ち居振る舞いや表情など、コミュニケーション力を見ることが多かったです。
最終面接では人事部長とお話ししてもらって、お互い働き方にギャップがないかなど、意思確認をしていきました。
合否判定
書類審査、数回の面接を通して、合否判定をします。
私が担当したのは1次面接の合否判定でした。
ほとんどの学生は面接対策や企業研究をしっかりしてきてくれるのでうれしい反面、合否を決めるのが心苦しいときもありました…
合否連絡
正式な内定を出すのは大学4年生の10月1日以降です。
ですがそれ以前に内々定という形で採用の連絡をすることが多かったです。
6月に面接して10月まで待たされるのも学生側としては長いですよね。
基本最初は、メールで連絡し、後日内定通知書をお送りする流れでした。
4,内定者のフォローをする
内定通知後も気を抜いてはいけません。
企業が学生を選ぶのと同じように、学生も企業を選ぶ権利があるのです。
企業と学生の立場は対等です。
内定者面談
ぜひうちの会社に来てほしい!と思った学生が自社を選んでくれるよう、内定後も連絡を取り合い、入社後について不安はないか、他社とどういう点で迷っているかなど、相談に乗ったりします。
内定後に手厚いフォローがあることで、安心して入社できる会社だなと思ってもらいたい、他社と比較したときに選んでほしい、という理由があります。
内定者研修
内定者を集めて、入社前にもっと会社のことを知ってもらうために内定者研修を行います。
インターンシップの内容をより深めたイメージです。
内定者研修には、
- 内定者同士の顔合わせをし、入社前に仲良くなってもらう
- 内定者との間でどのようなコミュニケーションをとったりどんな立ち位置になったりするか見定めて、配属先を決める参考にする
という意味もありました。
5,入社直前の準備をする
いよいよ入社日が近づいてくると、採用担当のやることは大詰めです。
ここでは入社直前、採用担当者はなにをやっているのか、流れを説明していきます。
配属先の決定
本人の希望や住所、現場の状況、店舗と新入社員との相性など、いろいろな側面から考えて配属先を決めます。
入社式・新卒研修の準備
入社式・新卒研修は、会社としてもビッグイベントです。
ここで失敗するわけにはいきません。
採用担当者も力を入れて準備します。
主な業務としては、下記のとおりです。
- 入社式の会場を押さえる
- 新卒研修の会場を押さえる
- 移動手段や宿泊場所を押さえる
- 新入社員に連絡をする
6,入社式・新卒研修の実施
入社式で全新入社員が初めてお互いを知ります。
入社式が終わった次の日から、そのまま現地で新卒研修をはじめました。
新卒研修についてはまた別の記事で書こうと思います。
7,入社後のフォローをする
研修がおわったら、いよいよ配属先で実際に新入社員たちが働き始めます。
社会人デビューなので、もちろん戸惑うことや失敗などもします。
採用担当は入社後どういう動きをするのかお話していきます。
新卒フォロー[面談]
新入社員の配属店舗に出向いて、実際に会って話をします。
楽しく働けているか、今困っていることはないかなどなど。
その声を店長や人事部長などに挙げ、会社側で出来ることは解決します。
採用担当側も新入社員の声を聞くことで、来年はこんなことに気を付けようなど、参考にさせてもらいます。
配属先のフォロー[店長面談]
新入社員だけではなく、配属先の上司である店長とも面談をします。
新入社員がうまく働けているか、店長が困っていることはないか。
店舗と新入社員の相性が合っているか、双方から確認します。
教育の進捗把握
前職では販売スキルのほかに、ものを作る技術も必要だったため、入社後1年を通して、新入社員を教育していくスケジュールがありました。
そのスケジュール通りに教育が進んでいるか、誰かつまづいて困っている人はいないか、技術トレーナーと人事で情報を共有していました。
店長との話などで判断して、新入社員と店舗の相性が合わなければ、異動したり、トレーナーと研修を行って学ぶ場を作って技術向上に努めたりしました。
おまけ:採用活動と新入社員教育は同時進行
採用担当は入社までではなく、入社後もやることがたくさんあります。
学生のころから新卒1年目まで、約2年間は密にかかわることになるのです。
採用活動と新入社員の教育は同時進行でおこなっているので、人事の仕事は大変に思う方もいらっしゃいます。
まとめ【人事の仕事はいろいろある】
実は採用担当は、面接や説明会など、学生に見える範囲の仕事のみではなく、さまざまな部署の社員とかかわることが多く、仕事内容は多岐にわたります。
私が経験した新卒採用の仕事は一企業の一例ですので、他社様では業務範囲がちがったりすると思います。
ですがこの記事で、新卒採用担当の働き方のイメージがひと通りつかめたのではないでしょうか。
もちろん業務内容が多くて大変なときもありますが、自分が見つけた原石が会社で活躍している場面をみるとやりがいがある仕事だなと思います。
この記事が人事になりたいけどいまいちよくわからないなと思っていたあなたが、人事を目指そう!と思えるようになれば幸いです。